「ちょっとまって、考える。」

そういうと圭介は短い黒髪をぼりぼりと掻きながら洗面所へ向かった。

腰掛けていたベッドから立つ瞬間、陽介をちらっと見たがあいかわらずニヤケていて少しイラッとした。

洗面所で髪を濡らし、かき回しながら考えた。

顔をうつむけたまま右手を伸ばして壁にかかっていた白いタオルを手に取る。

しっかりと髪を拭いて顔をあげると、鏡の奥にぼやけた自分の顔がみえた。

脇においてある黒縁のメガネをかけると、眉間にしわを寄せた自分の顔がはっきりみえる。

悩んでいる自分の顔がちょっとおかしく、少し吹き出してしまった。

「未来から来たこと?あほくさっ。」

圭介は髪を拭いたタオルを壁にかけて、陽一のいる部屋に戻った。