まっすぐ進むと、メインフロアと書かれた部屋の入口が目の前に現れた。左右に通路が分かれており、左が梅の間、右が松の間と案内がある。

元々は、旅館として使われていたものを、この大会主催者が改装したのだろうと圭介は思った。

さっきの受け付けの男達もだが、いたるところに監視カメラが設置されているのだ。

どうやら大掛かりな改装をしたみたいだ。

圭介は目の前にあるメインフロアの扉を開いた。

中も通路同様、薄暗くなっており気味が悪かった。

学校の体育館ほどあるその広いフロアには数十人の人が居た。

男性の方が多い印象だが女性もちらほら見える。そしてその全員が圭介ももらった黒い封筒を持っていた。

圭介が扉を開けた瞬間、ほとんどの人が圭介を見た。

圭介は一瞬驚いたが、すぐにその人達の中に入り込んでいった。

陽一がもしかしたらいるかもしれない、そう思い人と人との間を掻き分けて陽一を探す。

しばらく探しつづけるが、陽一の姿を見つけることはできなかった。

圭介はまだ探していたが、フロア内に響くゴトゴト、という音に動きを止めた。

フロアの天井4隅に設置してあるスピーカーから音が発生した。


「14時になった、これより本戦1回戦”Free Old maid”をはじめる。」