ドアが開いた
「お、お嬢さん!?」
目の前にいるバスタオル姿の艶やかな女は現組長の高嶋の娘のミカだった
「アンタ、見たことあるわ。確か、えっ~と…」
「森川です。あの、佐川の兄貴に用があったんですけど改めて来ます。失礼します!」
直立不動の姿勢で深々と頭を下げた森川にミカの腕が絡みついた。
「あ、あの…」
お嬢さんとは呼ばれる身だがミカは40近い。とにかく男好きで、誘惑された若い組員やホストが行方知れずになったり する噂が絶えない。
ミカの熱い体が森川を抱きしめた瞬間、冷や汗がドッと吹き出した。
「お嬢さん、からかっちゃいけません。俺は名前も覚えていただけないくらいの下っ端です!」
森川がミカから慌てて体を離すとミカは真っ赤な爪を森川の首筋に突き立てた。
「名前なんて、あれこれすんのに必要ないわ。いいから中に入りなよ」
そういってミカは獲物を見つけたメスライオンのように口をニタリと開いた