純白のお着物を身に付けた、年老いた女の人達です。


アニフが朗らかに挨拶(あいさつ)をしました。
「やあ、これはこれは凍付村の皆さん。私達は実は探し物があるのですよ」


ひそひそ、ひそひそ。
小声で相談する女の人達です。


アニフと雪ダルマは大人しく待ちました。


そして、たっぷり時間を経た後に、ようやっと女の人達は話し掛けて来ました。
「此(こ)の様な、辺鄙(へんぴ)な村へ、何をお探しじゃな?」


アニフはここぞとばかり、女の人達に事情を訴えます。
「私はアニフと言います。ここにいる」
背中へ顎を向けるアニフです。
「雪ダルマ君の生みの親、ユキムラさん家のリッカお母さんが病に臥せています。治すには白雪花が必要です。何故なら病は雪呪いに依るものだからです」


女の人達は「雪呪い」と聞いた途端、俄(にわ)かに騒めき出します。


アニフも雪ダルマも黙って、再び待ちました。


ようやっと相談を終えた女の人達はアニフと雪ダルマに向かって言い放ちました。
「此の村には雪呪いなぞ致す様な不心得者は居らぬ。白雪花も生えて居らぬ。済まぬが早々に立ち去って下され」