「やあやあ。我が友よ。我が地サガルマタを再訪してくれた事を山の神に感謝しよう」
虎に似た毛並みをした者はゴンと熱い抱擁を交わしました。


その後ゴンは皆を紹介しようとしました。


しかし虎毛並みの者は固辞するのです。


警戒しているのでしょうか。


無理強は良くない、そう判断したらしいゴンは暫く世間話を繰り広げつつ頃合いを計ります。


そして遂に白雪花の名を持ち出しました。


皆が期待に満ちた視線を送る中、虎毛並みの者は申し訳なさそうに告げたのでした。
「それを求めて来てくれたのに悪いが、それはもうこのサガルマタには自生していないんだ我が友よ。根こそぎ持って行かれたのさ」


「それは何者だ?」
やや焦りを滲ませた声で問い詰めます。


「それは黒かった。黒くて翼の生えた馬だったよ我が友。黒くて翼の生えた馬は、種一粒すら見逃す事は無かったのだ」