その内に段々と空の色は変化して行きます。


黒から青紫、そして白へと空の色は変わり、アニフ達にも疲労と焦りの色が見え始めた頃でした。


「あ……」
白姫が驚きと懐かしさ、それと仄かな恋心を窺わせる声を漏らしました。


白姫の目線の先には毛むくじゃらの者が唖然として突っ立っています。


黒い体毛に覆われた、ずんぐりむっくりな彼です。


「あの人が白雪花をくれたんだね?」
雪ダルマがはしゃぎます。


近付き、アニフは白姫を降ろしました。


見詰め合う、白姫と黒毛の者。


しかし黒毛の者は目を伏せ、力無く言いました。
「姫……白雪花なら、もうこの山には生えていないぞ」