「その一輪挿しはお屋敷の中にあるのですか?」


白姫は淋しげに睫毛を伏せ呟きます。
「……それが……枯らしてしまいました……」


アニフも雪ダルマも掛ける言葉が見付かりません。


暫く無言の時が過ぎて、白姫が口を開きました。
「アニフさん。後もう僅かで比婆山に到着致します」


「了解しました白姫」
アニフは一気に下降して行きました。


そこは雪深い山中です。


人の気配は感じられない静謐(せいひつ)な場所でした。


アニフは超低空飛行で雪山を進みます。


白姫とアニフは逐一相談しながら、あっちへ行きこっちへ行きしますが、お目当ての人物は見付かりません。