それから程無くして、アニフは遥か上空、雲の中を駆け抜けていました。


その背には雪ダルマ、そして白姫です。


白姫はちょこんと行儀良く正座しています。


「その……比婆山(ひばやま)に白姫のお知り合いが?」
アニフは躊躇いがちに尋ねました。


白姫は淑やかに答えます。
「風の噂に聞きました。懐かしい知己の者の姿を見たとの事」


「その御方が白雪花を所有しているのでしょうか?」


「そうなりましょうか。実は少し前に私、白雪花の一輪挿しをその殿方から頂いたのです」
うっとりしながら清流の如き声色で語る白姫です。