今までスモークがかかったようにはっきりしなかった頭がいきなり鮮明になった。

すると、目の前には登坂さんの顔が飛び込んできて、あたしはベッドから転げ落ちる勢いで思いっきり仰け反ってしまった。


「危ないだろう!病人が!」

「あ、すみません・・・・」

「いや、それはいい」


あたしの体を支える手を離すと、登坂さんは椅子に座り直した。

その表情は、安心したような、怒っているような・・・・そんな顔。

あたしの胸は申し訳なさが一気に込み上げた。


「あとのことは心配しなくていいから、今はとにかく休め。あんまり心配かけるなよ」

「はい・・・・」


それからすぐに、登坂さんは「先生に言ってくる」と言って病室を出ていった。





あたし───・・。


あたし、仕事に戻ったらなんだか気持ちが悪くなって、目の前が真っ暗になって・・・・。

気づいたらここにいた。

そういえば、最近はずっと休みがなくてキツかったっけ・・・・。

パートさんの代わりにシフトに入ったり、店内を走り回ったり。