俺のココ、あいてるけど。

 
そうして戻ってきた長澤だが、顔色は30分前とほとんど変わらず、むしろ悪くなっている。

本当に倒れる前に帰らせたほうがいいと思った。


「ちょっと待ってて。店長に話して俺も帰らせてもらう」


少し強引だが、こうでもしないと長澤は帰らない。

具合が悪いことを隠したまま、最後までいるはずだ。


これも1ヶ月指導をしてきたおかげで分かったことの1つ。

長澤は、自分のことを後回しにしてでも周りのことを考える・・・・そういう奴だ。

今は他人より自分だろう、と思いながら店長に「長澤が具合悪そうなので」と断りを入れ、俺も帰る口実を作った。










「おい、ちゃんと歩け」

「何言ってるんですか〜。ちゃんと歩いてますよ〜、登坂さん」


・・・・どこがだ。


“長澤を送る”という口実のおかげで、飲み会から解放されて一安心だった俺。

だけど、どこをどう見てもフラフラと千鳥足の長澤を見て一気に言葉を失う。


「登坂しゃん、あたし、もう歩けましぇん・・・・」

「あ、おいっ!」