◆誠治side.*:・゚
───あー、早く帰りたい・・・・。
焼き鳥を焼く炭火と煙草の白い煙が充満する狭い店。
周りを見れば、はめを外して飲んだり食ったりの職場の仲間。
“歓迎会”という名の飲み会に無理やり連れてこられた俺は、乾杯の前からもう帰りたかった。
友人たちとの飲み会だったら、たとえ二日酔いでも参加する俺。
だけど、職場となるとどうも気を遣って落ち着かない。苦手だ。
「登坂も指導係ご苦労だったな。お前のお疲れ会も兼ねての飲み会だから参加は強制ということで。・・・・いいな?」
今日の夕方まで渋り続けていた俺に、店長は有無を言わせぬ迫力でそう迫った。
「・・・・分かりましたよ」
と言ってしまったばっかりに、俺はこうして焼き鳥屋にいる。
そして、俺の隣には当たり前のように長澤が座り、あっという間にお酌や話相手にと引っ張りだこになっていた。
1ヶ月、長澤は本当に頑張った。
働きぶりは俺や店長の予想を裏切るほどで、安心して見ていられるようになった。


