「が、頑張ってみます・・・・」
何を頑張るのか分からないけど、そんなことまで言ってしまって。
「お、おぅ・・・・」
いつもはクールな登坂さんも、このときばかりはかなり焦っているみたいだった。
それから10分、20分・・・・。
どれくらい経ったんだろう。
トントンッ!
「お客様、会社の方たちはもうお帰りになるそうですが・・・・」
「・・・・あ、はい。今出ます」
トイレにこもっていたあたしに店員さんが声をかけに来てくれて、やっと少し落ち着いたところで飲み会に戻った。
あたし自身、こんなにも飲めないとは思ってもみなくて、お酒の弱さにがっくり。
しかも、店員さんの「お帰りになる───・・」という台詞は単に飲み会の席に戻すための台詞だったと知って、さらにがっくり・・・・。
「まだまだ飲むぞ〜!」と騒ぐ店員を尻目に、登坂さんがこう教えてくれた。
「“帰る”って聞かされれば、いくら気持ち悪くても出ないわけにはいかないからな」
って。


