「麻紀さんの気持ちも、登坂さんの気持ちも、ちゃんとあたしが心に留めておきますから」

「・・・・」

「いつか話せる日が来たら、そのときは笑って話しましょ?」


そのときまで待つよ、あたし。

あたしにも言葉では説明しにくい気持ちが分かるから・・・・。


「いい・・・・のか?」

「忘れないでおけばいいんです」

「そうか・・・・ありがとう」


そう、忘れないでおけばいい。

登坂さんもあたしも、ずいぶん遠回りをしちゃったけど。

今、あたしたち2人で出せる答えは・・・・“忘れない”ということ。


涙でぼやける視界の先に、にっこりと微笑む登坂さんが見えた。

今度はあたしから抱きしめよう。

あたしの居場所が登坂さんの腕の中のように、登坂さんの居場所もあたしでありますように・・・・。


「登坂さん、あの」

「・・・・ん?」

「抱きしめてもいいですか?」







「いいよ」
















「・・・・おじゃまします」