登坂さんとあたしは似ている。
それぞれ違う恋をしてきたけど、失恋の仕方は少し似ていて。
お互い、片想いをしてからの心の葛藤はもっと似ていた。
やきもちを妬いたり、もどかしく思ったり、想いを伝えられない自分が一番嫌だったり・・・・。
好きだと思ってからの時間は弱い自分との戦いで、でも結局、負けそうになったのは過去の傷がまだ癒える途中だったから。
そうなんだよね。
似ているからこそ分かるものって確かにあって、似ているからこそ傷つけてしまうこともある・・・・。
「そうして、好きだと伝えられないまま、夏が過ぎて秋になって。・・・・その頃、麻紀は相手の浮気でボロボロだった」
「・・・・そうでしたか」
「歩美に相談されて、もう会うことはないと思っていた麻紀とまた会うことになったんだ」
歩美さんが必死で登坂さんを頼って来た理由は、麻紀さんの彼氏の浮気・・・・。
「長澤にちゃんと話せばよかったんだが、どう考えても不自然なことだと思った。つき合ってもいないのに“心配するな”なんて、到底言えるわけがなかった」


