俺のココ、あいてるけど。

 
定食のお盆ごと抱え込むようにして野菜炒めを守る俺に、麻紀はおもしろくない顔をしてサバ味噌を口に運ぶ。

一気にたくさん入れたからだけじゃなく、頬を膨らませて。

それを見た俺も、負けじとご飯やら野菜炒めやらをかき込んだ。

俺の頬も、麻紀と一緒でパンパンに膨れているだろう。


それからしばらく、俺たちは無言で定食をガツガツ食った。

何をそんなに急ぐ必要があるんだと、早食い競争のごとく、それはもう、ガツガツと。


けれど、なんだか楽しかった。

麻紀は“完全復活!!”と言わんばかりの食べっぷりで、もう吹っ切れているようで。

俺は俺で、さっきの“好きだった気持ちだけ”を食事と一緒に飲み込み、長澤への想いに変えて早々と消化させた。

もう大丈夫だ、麻紀も俺も。





「はぁ〜、お腹いっぱいだ〜」


そう言いながら、麻紀が胃のあたりに手を添える。


「まだまだ行けんじゃねぇの? 胃、小さくなったか?」

「何よそれ。ひどいよね〜」

「心配してやってんじゃん」

「いらないお世話ですー」