でも、どうしてだろう。
あのとき言いたかったことをこうして話せただけで心が軽い。
麻紀に笑ってもらって、俺も同じように笑って・・・・。
本当の“別れ”は今なんだ。
そう感じる。
これをハッピーエンドと呼ぶか、バッドエンドと呼ぶか・・・・それは分からない。
けれど、今日のことが笑い話になる日がいつかきっと来る。
それだけは分かった。
「はぁ〜、本当おかしい。誠治って昔から全然変わらないのね」
何がそんなにツボだったのか、ひとしきり笑った麻紀は目の端に涙を浮かべている。
それを指ですくいながら、さらに続けてこう言う。
「しばらくは歩美と飲むときのネタになりそう。きっと笑うよ〜、歩美も」
「やめろよ、恥ずかしい」
「まぁまぁ。でも、これで誠治も私も正真正銘、本当の別れだね。その子にお礼言わなきゃ」
「そうだな」
本当、そうだ。
約半年ほどかかったが、ずっと言えなかったことが言えたのは長澤のおかげだ。
これでやっと、麻紀も俺もそれぞれに前に進めそうな気がする。


