◆誠治side.*:・゚



「お待たせ。・・・・っていうか、私のせいでうまくいかなかった?」


珍しいことに待ち合わせ時間に少し遅れてきた麻紀は、俺を見つけるなり申し訳なさそうに聞いた。

ここは、つき合っていた当時、たまに来ていた定食屋の一角。

色気も何もないが、麻紀が“ここがいい”と指定したため、久しぶりに訪れたのだ。


「いや、あんまり待ってないよ。つーかさ、いきなりそこから聞くか? 普通」

「ごめん。だって・・・・」


そう言って肩をすぼませた今日の麻紀は、あの弱りきった姿の面影はどこにもなかった。

そのことに安堵しつつ、立ったままの麻紀に椅子を勧める。


「今からちゃんと話すから。それから、謝りたいとも思ってる」

「謝る? それは私のほうだよ。あのときは、自分でもどうかしてた。本当にごめんなさい」


コートをたたむ手を休め、深々と頭を下げる麻紀。

俺は慌てて首を振った。


「違うよ、麻紀。謝るのは俺のほうだって・・・・!」

「そう・・・・なの?」

「そう」