でも、そんなのはモッサ君には全く関係がないみたいで。
ちょこちょこと後ろをついてきたあたしに振り返ると、じーっと見下ろされてしまった。
・・・・どちらかといえば、あたしには今のほうが恥ずかしいかも。
「登坂さんに伝言!“また長澤を泣かせたら今度こそ許しません”って言っておいて」
「・・・・」
ハッとした。
最後の最後まであたしのことを考えてくれて・・・・恥ずかしいなんて思った自分が恥ずかしいよ。
モッサ君、ありがとう。
「返事は?」
「は、はい」
「よろしい!・・・・それから、あと1つだけ。言うことが多くなるのは俺の癖なのかな。まぁ、ついでだから聞いてよ」
「・・・・うん」
相変わらず、あたしたちの周りを迷惑そうに避けていく人たち。
その人たちを見ても、道の端に移動したり、人が少ない場所で改めて・・・・なんていう思考は働かなかった。
今聞かないと。
モッサ君の大胆さが移ったのかもしれない、あたしの頭はそのことで埋めつくされた。
そして、モッサ君が口を開く。


