俺のココ、あいてるけど。

 
「あー、マジ恥ずかしいー」

「ご、ごめん・・・・ね」


コーヒーショップが完全に見えなくなると、モッサ君はそう言ってがっくりと肩を落とした。

謝るあたしは、ヘコヘコ平謝り。

男と女の感覚の違い・・・・とでも言うのか、モッサ君には相当恥ずかしかったみたいで。

まだ耳が少し赤い。


「あんなところで女の子に頭下げられちゃ、こっちはたまったもんじゃないよ。・・・・長澤にはさっぱりかもしれないけどさ」

「つい勢いで・・・・。ごめん」

「もういいけどー」

「・・・・」


子どもみたいにすねちゃって。

モッサ君ってこんなキャラだったっけ? ・・・・なんて。

あたしは首をかしげてしまった。


「あ!おかげで1つ言い忘れてたことがあったし!」

「な、なに!?」


まだちょっとばかり機嫌の悪いモッサ君は、そうぶっきらぼうに言って立ち止まる。

道の真ん中で仁王立ちのごとく立ち止まったものだから、前から来る人も後ろから来る人も。

少し迷惑そうな顔をしてあたしたちを避けて歩いていく。