ニカッ。
モッサ君が笑う。
それは、大学時代にバイト仲間だったときも、再会して友だちづき合いが始まってからも。
そして、あんな形ではあったけど“恋人同士”だったときも・・・・。
一度だって見たことのなかった、すごく満足そうな笑顔だった。
“心から満足している”
そう声が聞こえてきそうなほど、モッサ君らしい本物の笑顔。
「ありがとう!」
あたしは、彼にどれだけ感謝の言葉を言ったら伝わるだろう。
どんなときのあたしも見捨てず、近くから、遠くから見守ってくれたモッサ君・・・・。
温かく優しい言葉と、ときに厳しくも愛のある言葉で支え続けてくれたモッサ君・・・・。
もう一度、もう一度。
「本当にありがとう!」
ガツンッ。
勢いあまって、今度はあたしが頭を下げたはずみでテーブルにおでこをぶつけてしまった。
でも、今は痛みもない。
ちゃんと伝わって!どうか・・・・!
その思いだけだ。
「わっ!長澤、何やってんだよ!分かった、分かったからっ!」


