「・・・・え」
「俺はそう思うけどな」
「・・・・」
言われてみれば、そうなのかも。
“自覚”か・・・・難しい。
「それに、長澤は自分で思っているほど弱くもないし、フラフラもしていない。自分を買いかぶっちゃダメだよ」
「そう・・・・なのかな」
「そうだ!・・・・って、コレ、俺の上司の受け売りだけど」
モッサ君は照れ笑いを浮かべて頭の後ろをぽりぽり掻く。
“上司の受け売り”なんて言ったけど、本当はモッサ君自身の言葉なんじゃないかな。
でも、なんでだろう。
もっともっと・・・・素直になれそうな気がしてくる。
言葉が心に染み渡って、もっともっと・・・・あたし自身を大切にしようと思えてくる。
不思議な感覚だった。
トン、と背中を押されたみたい。
今まで“こうじゃなきゃ、こうしなきゃ”と頑なに意地を張ってきたことがスーッと消えていく。
「自立も結構!強くなることも結構!でも、一番大切なことを忘れちゃいけない」
「・・・・えっ?」
「突っ走れ、長澤!!」


