─・・

──・・・

───・・・・



静かに音楽が流れる店内。

コーヒーを挽くいい匂い。

夜はそれほどお客さんも多くないこのコーヒーショップは、時間の流れがゆっくりに感じる。

あたしは、そんな中にふさわしくないくらいに緊張しながら窓の外をひっきりなしに眺めていた。


モッサ君が来たら何を話そう、どんなふうに切り出そう・・・・。

そればかりを考えていて、意味もなくトイレに立ったり、紙ナプキンを折り曲げたり、とにかく落ち着かなかった。


「はぁ・・・・」


ため息だって、もう何回ついたか数えられないくらい。

自分から話がしたいと言ったくせに、やっぱり情けない・・・・。




そうして、かれこれ30分ほどが過ぎた頃───・・。


「いらっしゃいませ」


モッサ君が現れた。

あたしの姿を見つけるなり、モッサ君は小走りに席まで来て。


「遅れてごめん」


頭を下げた。


「あたしこそごめん」


立ち上がったあたしも、急いで頭を下げて謝った。