店長にももう一つ目があるんじゃないだろうか・・・・。

しっかりとここ最近の事情を把握されていて、俺が長澤を想っていることも知られていて。


「・・・・梅村ですか?」

「さぁ。店長にも守秘義務ってものがあるからなぁ」


と、はぐらかされるだけ。

店長はニヤニヤと笑いながらまたコーヒーをすすっている。

それだけ心配されているのは嬉しいが・・・・この歳で店長と恋愛の話をするとは思わなかった。

恥ずかしい。


「で? どうなんだ?」

「しつこいです」


本当、しつこい。

だから・・・・。















だから、店長には言わない。

前向きな返事をもらえたことは。

麻紀にも会って、もう一度きちんと話をしなければいけないな。


「さて、と。店長、ちょっと一服してきます」

「はいは〜い!」


なんとなく居心地が悪くなり、そう断りを入れると、店長は柄にもなく手を振って俺を見送った。

そのあと吸った煙草は、久しぶりにうまかった。