本当は、あの日のことを謝って。
それから、今日浮上した“退職”という2文字を考えさせないためにも、どれだけ長澤がみんなから必要とされているかを話して。
そして、最後に「好きだ」と言えれば・・・・その想いを伝えられればと考えていた。
けれど・・・・。
長澤を見た瞬間、それができなくなってしまった。
“好き”の気持ちが体から溢れ、冷静に事を運ぼうと思う一方で、頭より先に体が動いたんだ。
言ってしまった。
とうとう・・・・。
・・・・長澤は、下を向いたまま顔を上げない。
今何を思い、感じ、考えているのか、それを想像することも窺い知ることもできなかった。
どれくらい経ったのか・・・・。
やがて、長澤は真正面から俺の顔を見上げた。
やっと目を合わせてもらえた。
「好き・・・・です。あたしも」
そして、小さく呟くように、でもはっきりとそう言った。
「でも、今はダメです。登坂さんの気持ちは本当に嬉しいです。本当に・・・・。あたしにはもったいないくらいです」


