どうして終わったことを今さら蒸し返すの? と戸惑う気持ちと。

待つって言ってくれたのは嘘だったの? と責めたい気持ちと。

そのほかにもいろいろな感情が心の中に生まれて、体が石になったみたいに動けなかった。


なかなか車を降りることができないあたしに痺れを切らしたのか、見兼ねたのか・・・・。

モッサ君は短く息を吐き出すと、わざわざ助手席に回ってドアを開けてくれた。

冷たい風が入ってきて、体が勝手に身震いしたのを覚えている。


「もう乗せられないから・・・・」


その声でようやくモッサ君の顔を見ると、堰を切ったように涙がどっと溢れてきた。

そのあとは、モッサ君に背中を押されて部屋の前まで連れられて。


「大好きだった」


その言葉を最後に、モッサ君とは連絡も取れず・・・・こうして今になっている。





本当にキスもその先もなく、手さえもつながなかった。

モッサ君はただ、あたしの隣にいてくれただけ。

あたしはモッサ君を利用していたのかな。

・・・・だったらすごくひどい女だ。