「あぁ!ただ未来さんを振ってもらってるだけですよ♪」
「・・・・はっ?」
梅村綾はさらりと言うが、俺は意味がうまく飲み込めない。
だって、モッサは長澤が好きなはずだろう? つき合っていて、長澤も好きになろうとしているところじゃないのか?
・・・・頭がおかしくなりそうだ。
「“振ってもらってる”って言い方は変ですね。綾が強制したみたいに聞こえちゃいます」
「・・・・違うのか?」
「違いますよ!失礼な!」
「じゃあ、どうしてだ?」
もう訳が分からない。
フンッと鼻を鳴らして勢いよく机を叩いた彼女はひどく憤慨しているようだが・・・・。
俺にはさっぱりだ。
「・・・・モッサ君もかなり悩んでたみたいで。無理に笑ったり好きになろうとしてくれるのを感じるたびに、未来さんを幸せにする自信がなくなっていったんだって」
「そんな・・・・」
「もともとけじめをつけるために言ったわけだし、反則な場面での告白でしたけどね・・・・」
少しずつ見えてきたモッサの心の中は、迷いがいっぱいだった。


