口元を手の甲で拭い、ペットボトルを机にドンと置いて話す梅村。
その姿はいささか男勝りで、その分だけ本気で話しているということが窺い知れた。
「モッサが驚く? 梅村、あいつと連絡を取り合っているのか?」
「はい。海のときに番号交換しました。そのモッサ君が驚いてるんですよ、登坂さんに申し訳ないことをしたとも悔やんでました」
「そうか・・・・」
裏切ったのは俺のほうなのに・・・・モッサも辛いだろうな。
俺こそ申し訳ないことをした。
「登坂さんのせいで泣く未来さんをどうしてもそのままにしておけなくて“俺にしとけよ”と言ったそうなんです」
俺は無言で頷く。
あのとき・・・・長澤たちを追いかけてアパートまで車を飛ばしたときのことが脳裏によみがえる。
「きっと返事はノーだろうけど、自分の気持ちにけじめをつけるためにも言いたかったんだって。登坂さんも分かるよね。でも・・・・」
そこで言葉を区切った梅村綾は、きゅっと下唇を噛みしめた。
目にはじわじわと涙が溜まり、こぼれないように堪えている。


