「さて、と」
そう言ったモッサ君は、エンジンをかけて車を発進させた。
車内のデジタル時計は9時40分を刻もうとしている。
2人の仲を深めるにはいい時間。
いよいよだ・・・・。
いよいよこれから、横のモッサ君に身を委ねることになる。
けれど───・・。
10分、20分、30分。
時間が経てば経つほど、あたしの目には見慣れた景色しか映らなくなった。
モッサ君の部屋の方向でもなく、もちろん“違う場所”の看板も見えてこない。
昼間見たのはあたしの見間違いだったのかな。じゃあ、行きたいとこって・・・・。
あたしはすっかり気が抜けてしまって、きっとモッサ君は飲みに誘いたかったんだ、なんて思いはじめていた。
助かったような、残念なような、そんなどっち付かずな気分・・・・。
そうして1人で不思議な気分でいると、黙っていたモッサ君が口を開いた。
煙草に火を点け、音楽を消して。
「突然で悪いんだけど、今日で終わりにしないか」
え・・・・。


