そうして2時間弱が経った頃、モッサ君が腰を上げた。
たった今までほろ酔いのあたしに合わせて笑ってくれていたモッサ君の顔は、すっと引きしまった。
「腹もいっぱいになったし、そろそろ行こうか」
「あ、うん・・・・」
それと同じくして、なくなったはずの緊張がまた顔を出す。
モッサ君の部屋で? それとも違う場所で? と、回転が鈍くなった頭が考えはじめた。
お酒のせいだけじゃなく、体中がなんだか熱い。
“行くよ”と促されてコートを引っつかんであとを追いかけたはいいけれど、思うように靴が履けなくて手間取ってしまった。
もたもたするあたしを見てモッサ君は“焦るな”笑っていたけど。
あたしはちゃんと、笑い返せていただろうか・・・・。
「ごちそうさまでした」
「いいえ」
会計を済ませて外に出ると、そう言ったあたしたちの息は白く空に上って消えていった。
空気はすっかり冷え込んでいる。
2時間前まではヒーターいらずだった車の中も、何か話すたびに外と同じく白い息が立ち上ぼった。


