食事を終えて映画館に移動してからも、映画が始まっても、あたしはずっと緊張していて。

観たかったはずの映画は、ほとんど頭に入らず終わってしまった。


『この秋、恋人たちに贈る最高のラブストーリー』なんていうキャッチコピーだったのに、それもなんだかあやふやで・・・・。

たまたま見たCMのその台詞で観ようと思ったんだけど、隣にいるモッサ君がちらちら目に入ってスクリーンに集中できなかった。


それでもキスシーンだけは別で、1人で顔が熱くなったり・・・・。

意識しすぎたあまり、あたしは変な汗までかいてしまった。





「はぁ〜。俺、久しぶりに映画観たよ。いい映画だったな」

「うん、そ、そうだね」

「・・・・どうした? なんかちょっと変じゃない? 長澤」

「ううん!感動しちゃって!」


とっさに笑顔で誤魔化してみたけれど、モッサ君に不思議そうな顔で首をかしげられてしまって。


「あは、あはは・・・・」


あたしはバツが悪くて、ただ笑うしかなかった。

絶対、モッサ君にばれたよ・・・・。