だから、といってはあれだけど、あたしは登坂さんと距離を置こうと思った。
自分でも笑っちゃうくらいに子どもじみているけど、必要以上に。
登坂さんの気配を感じると離れていったり、目が合いそうになるとそらしたり・・・・。
前は自分から買って出た外の喫煙所の掃除も、理由をつけて違う人に頼んでみたり。
そうやって、あたしのほうから接する機会を減らしていった。
勘のいい綾ちゃんのこと。
あたしが登坂さんを避けていることをすぐに感じ取った彼女は、それでも深く聞くことはなく、ただ一言・・・・。
「未来さんは大丈夫ですか?」
それだけをしきりに繰り返して、元気のなかったあたしを笑わせてくれたり、和ませてくれたり。
とても気を遣ってくれた。
けれど、片想いが終わったことは小百合にはまだ話せていない。
電話をするのが怖くて、それに、なんだか怒られそうな気がして。
“気持ちの整理がついたら”なんていうのは建前で、これ以上、弱いあたしを見せたくなかった。
遠くにいる小百合を悲しませたくなかった。


