けれど、まだ諦めきれない長澤への想いが胸の中を支配している。
胸のまん中でくすぶっている。
いくら避けられても、いくら目を合わせてくれなくても。
───そして、長澤が選んだ相手がモッサだったとしても・・・・。
女々しい男だと笑われるかもしれない、諦めが悪いと後ろ指を差されるかもしれない。
それでも・・・・。
それでもいいから、長澤に恋をしている時間をまだ終わらせたくはなかった。
梅村綾の視線が痛いのは、彼女も俺が何をしたか知っている、ということにほかならない。
気持ちは受け取れないと、あの夏の海で泣かせてまで長澤への想いを貫く覚悟を決めたのに・・・・。
結果的に、彼女まで裏切ることになってしまった。
これでも俺は、遅かったんだと、長澤がモッサを選んだのならと、何度も諦めようと思ったんだ。
でもそれはそうそう上手くいくものではなく、自分に嘘をついてまで貫き通す気持ちではなかった。
やっぱり俺は、長澤が好きだ。


