その思いで一心に走って。
走って、走って、走って・・・・。
急いで車に飛び乗り、なかなかかからないエンジンに苛立ちながらも強くアクセルを踏み込んだ。
向かう先は、会社のアパート。
今夜、長澤は戻るかもしれないし戻らないかもしれない。
どっちにしても長澤の行きそうな場所なんて知らない俺は、彼女が戻ることを祈ってアパートに向かうしかなかった。
途中、いくつかの赤信号につかまって、そのたびに俺はハンドルを乱暴に叩いた。
いつもは“こんなもんか”と気にもしない待ち時間も、このときばかりは恨めしかった。
早く、早く、早く・・・・!
1分1秒が惜しかった。
そうして、ようやく俺はアパートまでたどり着いた。
走ったわけでもないのに息が上がり、心臓が驚くほど早く動く。
体の内側からえぐられるような、なんともいえない気持ち悪さがさっきの何倍にも増している。
それでも、俺を突き動かしていたのは長澤の涙と麻紀の言葉。
“後悔してからじゃ遅い”・・・・。


