その声が、何も考えられなくなった頭の中にこだまする。
その体が、力を無くしたあたしの体を力強く抱きしめる・・・・。
でも───・・。
あたしはただ、想っているだけ。
登坂さんの彼女でも何でもない。
だから、泣くのはおかしい。
“理由がある、あるはず、あってほしい”・・・・そう願うこと自体、おかしなことなんだ。
モッサ君に抱きしめられる寸前、あたしはそう、自分の涙を必死で否定していた。
もう、小百合の言葉も綾ちゃんの言葉も、頭の中にはこれっぽっちもなかった。
「未来を見る目・・・・っていうか眼差し? すごく優しかったよ?」
「私の勘だとね、登坂さんは未来のことが好き!それも、ものーっすごく!!」
「きっと分かる日が来ます♪」
「うん・・・・」
もう、いい。
もう、どうでも───・・。