でも・・・・。

だけど・・・・。


もしもあのとき俺が麻紀と会うと言わなかったら、長澤を傷つけることはなかったのかもしれない。

もし俺が麻紀と会うことを事前に話していたら、2度も泣かせることはなかったのかもしれない。

もしあの日、長澤が歩美に会っていなかったら、歯車は狂わなかったのかもしれない。


もし・・・・。

もしも・・・・。


神様は意地悪だ。

こんなに想っているのに、こんなにも長澤が好きなのに・・・・簡単には幸せを運んできてはくれない。

あのときの長澤の泣き顔は、これから先も絶対に忘れないだろう。

忘れることはないだろう・・・・。




















こんなことになるのなら、ちっぽけなプライドなんて捨てて「心配しなくていいから」と・・・・。

たった一言、その一言を言っておけばよかった───・・。