◆誠治side.*:・゚
───プルルル、プルルル・・・・
「はぁ。なんで歩美が・・・・」
俺は携帯のコール音を聞きながら途方に暮れていた。
早めに仕事を切り上げ、誰もいなくなった事務所で電話をかける。
歩美とは、ここ半年ほど連絡を取り合ってはいなかった。
・・・・麻紀の親友だから。
麻紀と別れてからは必然的に歩美とも連絡を取らなくなったんだ。
麻紀と歩美はもともとの親友で、大学で俺と麻紀とつき合いはじめたことから歩美とも接点を持つようになった。
それがきっかけだ。
よく3人で飲みにも行ったし、ケンカをすれば歩美が中に入って取り持ってくれた。
麻紀と俺がつき合うのを一番身近で見ていたのが歩美だった。
その歩美が俺と連絡を取りたがるということは、麻紀に何かがあったんだと推測できる。
でも、どうして俺なんだろう。
今さら俺が出ていったって、終わった関係をやり直すことはもうないというのに・・・・。
───プルルッ
「・・・・もしもし? 誠治君?」


