登坂さんと歩美さん・・・・どうしてだろう、2人がただの知り合いじゃないように思えてならない。
昨日の歩美さんの様子、メモを見たときの登坂さんの表情。
2人をつなぐもう1つの大きなものがあるように感じるんだ。
「とりあえずサンキューな。今日にでも連絡してみるよ」
「はい。お願いします」
もう一度メモを見て、それからワイシャツの胸ポケットにしまって、登坂さんは言う。
登坂さんは、歩美さんとの関係を詳しく話してはくれなかった。
それはごもっともで、聞いたら答えてくれるわけでもないと思う。
だってあたしは、登坂さんの彼女でもなんでもないから。
あたしの思い過ごしや取り越し苦労だったらいいんだ。
でも、この胸のザワザワは、簡単には消えてくれそうにないの。
あたしが一方的に好きなだけ、あたしが勝手に不安になっているだけ・・・・頭では分かっているのに、心がついていかなかった。
「じゃあ、俺は先に行くな。長澤も早く仕事に戻れよ」
そして、そんなあたしを置いて登坂さんは仕事に戻っていった。


