また1つ、登坂さんの素敵な一面を知れた。
人となりというか人望というか、今でも頼りにされる存在であり続けることがすごいと思った。
「・・・・じゃあ、お言葉に甘えてお願いしてもいいですか?」
遠慮がちに彼女が尋ねる。
「はい。あたしでよければ」
「ありがとうございます」
あたしがそう言うと、彼女はにっこりと笑ってバッグから手帳とペンを取り出した。
それからすらすらとペンを走らせ破いたページをあたしに渡す。
「これ、私の連絡先です。彼によろしくお伝えください」
「はい。責任持って渡しますね」
「よろしくお願いします」
受け取った紙には、彼女の名前と携帯番号、それとアドレス。
“早坂歩美さん”というのが彼女の名前らしかった。
「あたし、長澤未来です。すみません、名前も名乗らずに・・・・」
「いえいえ!私のほうこそいきなり声かけちゃったりして・・・・。本当ごめんなさい。改めてまして、早坂歩美です」
「長澤未来です」
改めて自己紹介をしながら2人で笑った。


