そのときの手をパタパタさせて必死で訴えかける仕草がすごくかわいらしくて、本音と一緒に思わずプッと吹き出したあたし。
だって、声をかけられでもしたらって思った矢先に本当にそうなるんだもの。
びっくりしないわけはないよ。
すると、その人も少し笑いながら申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえ。あ、そうだ。あたし、登坂さんと同じスーパーの社員なんです。よかったら今日のことを話しましょうか?」
さっき感じた不安は、気さくな雰囲気の彼女のおかげでもうどこかへ飛んでいた。
こんなふうに彼女と登坂さんの橋渡し的な役を引き受けようと思えたのも、きっと何かの縁。
あたしが言うまでもなく、登坂さんは本当に優しい人。
だから、彼女もそんな登坂さんを頼ってここまで来たんだと思う。
それであたしも、何か力になれたら・・・・とそんな提案をしたんだ。
「・・・・本当ですか!? 同じ職場の方だったんですか!?」
「はい。偶然にも」
驚いて目を丸くする彼女と、偶然って重なるものなんだな・・・・なんて妙に納得するあたし。


