「粗相とかしなかったよね!?」
部屋を訪ねてから帰るまでの自分の行動を一通り思い返してみる。
靴は揃えて脱いだし「おじゃまします」も言ったし、足も崩さなかったし、帰るときもちゃんと頭を下げた。
大丈夫・・・・だよね?
「あぁっ、コップ!洗って帰ればよかった!」
登坂さんに洗わせるのも・・・・あたしが片付ければよかったのかな。
でも、今さら戻るのもおかしな話だし「気にしすぎなんだよ」なんて笑われそう。
「明日・・・・明日、改めてお礼を言っておこう。綾ちゃんのことと、麦茶のこと」
街灯の明かりがぽつぽつと灯る、住宅地の夜の道。
そんな静かな中で、ああでもないこうでもないと独り言を言いながら歩くあたし。
ちょっと怪しいかも・・・・。
こんなときに後ろから声をかけられでもしたら、きっと飛び退くくらいじゃ済まないんだろうな。
・・・・よし、コンビニまであと少しだし、しゃべらずに行こう。
考え込むのは部屋に帰ってからたっぷりと、そうしよう。
そうして心を決めたとき・・・・。


