それから1時間ほど、俺と長澤は今後について話をした。
梅村を傷つけないように噂話を消す方法を出し合ったんだ。
最終的には、店長に報告して様子を見ながら・・・・ということに。
前の一件で、店長からも「どんな小さなことでも報告してほしい」と言われていたから、そうすることにした。
「店長には俺が言っておくから、長澤は梅村のフォロー、頼むな。もちろん、俺も気をつけるけど」
「はい。よろしくお願いします」
玄関先で長澤を見送る。
長澤は、ほっとした顔で俺を見上げると静かにドアを閉じた。
カチャ、カチャ。
俺は、テーブルに置いてあるコップをさっそく片付け始めた。
長澤が使ったコップと、俺が使ったコップ。2つを並べて台所の流しに置いた。
「いつか・・・・お揃いの物が持てるようになれたらいいな」
そのコップを眺めながら、ぼそっと独り言が出る。
梅村のこともあるが、今日こうして長澤が俺を頼ってくれたことが嬉しかった。
モッサより1歩前に出られた・・・・そんな気がして。


