長澤は、置いたコップに手を添えたまま、下を向いて答えた。
その表情から読み取れるのは、梅村の心配と噂話への嫌悪。
自分が嫌な目に遭ったからだけではないものがそこにはあった。
「・・・・梅村はそんな奴じゃないのにな。また噂話か・・・・いい加減なくならないものか」
「はい・・・・」
長澤の顔がいっそう険しくなる。
「それで、最後に“これだから今どきの若い子って・・・・”って」
「そうか・・・・」
「確かに綾ちゃんはまだ10代ですけど、ちゃんとした子です。見た目だけで判断するのはおかしいと思うんです」
「そうだな・・・・」
俺の顔も険しくなった。
そりゃ、前はよく仕事を放り投げて俺のところに来ていたが、今は至って真面目だ。
責任感が出てきたようで、仕事熱心にもなった。
その変化は誰の目から見ても明らかで、関わりが深い俺や長澤以外の人にも十分伝わっているはず。
それなのに、よく知りもしないでおかしな噂を立てるのは、いささか行きすぎていると思う。
長澤の表情にも納得だった。


