◆誠治side.*:・゚
そう言って、俺は突然の訪問客、長澤を部屋に招き入れた。
小さく頷くと、長澤は小さな声で「おじゃまします」と言って丁寧に靴を揃えて中に入った。
最初、部屋を訪ねてきたのは宅急便か何かだと思っていた。
でも、目の前に立っていたのは長澤・・・・驚いたってもんじゃない。
しかも思い詰めているような顔、さわりだけ聞けば梅村綾の相談。
長澤がそんな顔をするときは、いつだって人のためなんだ。
自分のことはそっちのけで人に尽くせる人はそうそういないんじゃないだろうか。
俺は、また改めて長澤に惚れた。
「まぁ、適当に座ってくれ。今日も疲れただろ。今、冷たい飲み物用意するから」
「・・・・はい」
好きな人が自分の部屋にいる・・・・それは前にも体験していた。
でも、ほかの人とは違う。
長澤だけは特別で、そこにいるだけで、いてくれるだけで緊張と幸せが順番に巡ってくるんだ。
長澤が場所を見つけて座ったのを見届けてから、俺は冷蔵庫のドアを開けた。


