───コンコンッ。
その日の夜、いてもたってもいられなくなったあたしは、登坂さんの部屋を訪ねた。
綾ちゃんのことを相談できる人を考えたとき、登坂さんしか頭に浮かばなくて・・・・。
だから、迷惑を承知で夜の9時半過ぎにドアをノックした。
今日、登坂さんはシフト休み。
車もあるし部屋の電気もついているから、中にいるはず。
「緊張するなぁ・・・・」
登坂さんが出てくるまでの間、あたしの心臓はドキドキバクバク。
前にあたしの部屋は見られちゃったことがあるけど、登坂さんの部屋は見たことがない。
綾ちゃんの相談をしに来たはずなのに、好きな人の部屋を前にその目的すら忘れてしまいそう。
と、そのとき───・・。
「はい。今開けます」
ガチャッ。
その声とともにドアが開いた。
「・・・・長澤!?」
登坂さんの第一声は、驚きを隠せない声だった。
目を見開いて壁に左手をついて、右手にドアノブを握ったまま、口をぽかんと開けた。
「遅くにすみません・・・・」


