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モッサとの話を思い出しているうちに、気づけば辺りはすっかり暗くなっていた。

車の流れは順調で、まもなくいつもの見慣れた街に入る頃。


「ん、ん〜・・・・」


遊び疲れたのだろう、長澤は小さな寝息を立てながら狭いシートで寝返りを打つ。

その無防備で愛しい寝顔を見て、俺は改めて思う。

守りたい・・・・と。


長澤のトラウマ。

できることなら、モッサでもほかの男でもなく、俺がどうにかしてやりたい。


俺にしかできないことは何だ?
俺ができることは何だろう?

運転中、ずっと考えていた。


「はぁ──・・」


それでもなかなか答えは出ず、何度となくため息がもれた。

“守りたい”

その想いは、よりいっそう強く心に刻み込まれた。

でも、今までの俺では・・・・今の俺ではまだまだのような気がする。





いつか、長澤が寄りかかってもびくともしない男になりたい。

海のなごりとともに、そんなことを思った───・・。