本音は前者。それに加えて、長く残っていられても俺の負担が増えるだけ。
長澤が働いている間は、自分の仕事以外に形だけでも指導係もしなければならない。
早く帰ってもらったほうが楽だ。
だけどそれを言ってはまずいことくらい分かっている。長澤に限らず誰でもいい顔はしないだろう。
だから、本音をちらつかせながら“早く帰れ”と催促した。
「・・・・分かりました。じゃあ、お言葉に甘えます。お疲れさまでした。お先に失礼します」
「あぁ、お疲れ」
「はぁ・・・・」
バックヤードの自分の椅子に戻ると、俺は深く息を吐いた。
「どうした? 登坂」
相変わらず能天気な店長は、すかさず聞いてくる。
「いえ。長澤、やっぱりまだ残ってましたよ。パートに頼まれたか何かで、お菓子の品出しを」
「そうか。で、どう思う?」
「何がですか?」
「長澤さんだよ。まだ初日だが、いい社員に成長できそうか?」
「店長、まだ1日終わったばかりじゃないですか。そんなの分かりませんよ。ただ・・・・」


