◆誠治side.*:・゚
長澤を乗せて帰る途中、俺はずっとモッサが言ったことの意味を考えていた。
午後になって日射しがいっそう強くなった頃、ビーチパラソルの下で聞いたことを・・・・。
「登坂さんって、長澤のことが好きですよね? だから今日も乗り気じゃないのに海に来た、そうですよね?」
「げほっ・・・・げほっ・・・・!」
俺はそのとき、まだ少し慣れない8ミリの煙草を吸っていた。
唐突に、しかも的確に言い当てられて、激しくむせてしまった。
俺のそのストレートすぎる反応を見ると、モッサは続けざまにもう1つ攻撃を仕掛ける。
「あ、当たりだ。ついでに言わせてもらいますと、登坂さんは俺が嫌い・・・・ですよね?」
「な、なんで・・・・げほっ」
“なんでそこまで言い切れる?”
そう言いたかったが、煙がまだ喉に残っていてまたむせる。
「分かりますよ。俺だって登坂さんと同じです・・・・いつも長澤を見ていますから」
「・・・・」
そう言うと、モッサも煙草に火をつけた。


