帰りの車中、あたしは刻々と変わる空の色や流れる景色を眺めながら今日1日を振り返った。
海は、楽しくもあったし歯痒くて切なくて・・・・辛くもあった。
意気込んでお弁当を作ったり、綾ちゃんの積極性に太刀打ちできなかったり。
弱虫な自分をモッサ君に指摘されて涙が出そうになったり、恋の終わりを目の当たりにしたり・・・・。
海や空は見た目にはずっと変わらずにあったけど、あたしたちの関係は少しずつ変わった。
いい変化だったり、悪い変化だったり、まだ予測もできない小さな変化だったり。
それでも、心に根を下ろした想いは枯れることも飛ばされることもなく、ずっとそこにあった。
それが、あたしにとってのたった1つの真実だった。
しばらくすると、あたしの体は海の疲れに気だるく襲われた。
まぶたが重くて、もう目を開けていられない・・・・。
再びまぶたが開いたときは辺りはもう真っ暗。見慣れた風景が目に飛び込んだ。
でも───・・。
そこにはまだ、海のなごりがかすかに残っていた。


