ふてくされたあたしは、拾ったボールをモッサ君に押しつけて砂浜を引き上げた。
喉もカラカラだったし、炎天下にUVケアもしないで遊んでいた背中や腕も痛かった。
それより何より、さっきのモッサ君の言い方。知らない仲ではないけれど、ちょっとひどい・・・・。
仕方なく綾ちゃんとボールで遊びはじめるモッサ君を背中に、あたしは荷物番をしている登坂さんのもとへ急いだ。
「あいつと交代か?」
「はい、まぁ」
あたしが近づくと、登坂さんはそう聞きながらシートをずらして座る場所を作ってくれた。
「顔は? 痛くないか?」
「あ、大丈夫・・・・です」
恐る恐る隣に座ると、次はボールを受け止めた顔の心配まで・・・・。
覗き込むようにして聞かれたものだから、顔より心臓が痛かった。
ドキドキ、バクバク・・・・。
心臓があっちこっちに飛び跳ねて息もまともにできないくらい。
改めて思うまでもなく、登坂さんは本当にかっこよくて大好きで。
それでいて、あたしの心をつかんで離さない人だった。


