笑われるかもしれないが、あのジッポライターは捨てた。
煙草も3ミリから8ミリにした。
ライターはいつかの誕生日に麻紀がくれたもの・・・・モッサの言った通り、少し前に壊れてしまった。
そのまま取っておこうかとも考えたが、ふと長澤の顔が浮かんで捨てることにした。
麻紀は本当に好きだったし、たまに思い出すこともある。
でも、今の俺にはそれ以上に好きな人、大切にしたい人がいる。
麻紀との思い出は、今胸の中にあるものだけで十分だった。
煙草だってそう。
あの日長澤がくれたミリ数違いのマイルドセブンが嬉しくて、それを本当にしたかった。
またもらえる日が来るかもしれない、そのときのために・・・・。
「お待たせしましたぁ♪ 登坂さ〜ん、モッサ君!! 未来さんがなかなか着たがらなくて時間かかっちゃいましたよ〜!」
「だって・・・・」
それからしばらくして、ちょうど2本目を吸い終わった頃、長澤と梅村綾が着替えて戻ってきた。
長澤は、梅村綾の後ろに隠れるようにしてモジモジしている。


